その時どう動く
出されても、達磨は転がっていく。
そして、踏み止まったところで
すっくり立ち上がる。その重心が重く、
低い所にあるからである。人もそうである。
どんなところに投げ出されてもよい。
行き詰る。
止まったところで直ぐ
立ち上がれる人にならねばならない。そのためには
徳を積み上げていかねばならない。力に満ちた、低い、
豊かな魂のひとにならねばならない。出典元
月刊致知 2017年5月号
P.9 「その時どう動く」 から
覚悟ある人は まさかを越えて行く人
人生において、
「覚悟を決める」時って
そう多くはありません。
学生が卒業して、社会人になる時、
仕事を任されて結果を求められる時、
結婚、離婚をする時、
子供が生まれて親としての
責任を自覚する時、
難病や不治の病にかかったと判った時。
人それぞれ、「覚悟」を自認する時の
置かれている状況は違います。
「覚悟」は、短時間で求められる時や
長い時間をかけて、自分に言い聞かせて、
奮い立つ時と千差万別、
その時々で決めていくものです。
中には
(というより多くの場合かもしれませんが)
みっともなくじたばた、
右往左往して決められない人々も大勢います
この様な人は「腹が座っていない」のです。
この傾向は優柔不断な方に
よくみられるかもしれませんね。
「覚悟を決める」には、
精神が鍛えていなければなりません。
逆境に生きる
如何に「精神力」を鍛えたかによって
「覚悟」は決まります。
中学生、高校生、大学生と過ごす中で、
スポーツをして鍛える人もいます。
またま家が貧しくても、
親が明るく子と接し
苦労を楽しんで逆境に
強くなる人もいるでしょう。
「精神力」は自分一人では、
鍛えることも訓練することも
難しいものです。
その時の状況、置かれた環境、
自分の能力これらが、複雑の絡まった中で、
追い詰められ、我慢を強いられ、
漁火のように、暗闇の中であがく。
あがき続けている時に、
かすかな光を見出した時、
初めて「精神力」は一段鍛えられるのです。
我慢の中から光明を見出す
人は追い詰められた時に、
何とかしようと打開策を考えます。
時には、仲間や周りの人たちに
助けられることもあるでしょう。
読書家なら書籍から、
活路を見出すこともあるでしょう。
映画や、テレビ、音楽や絵画から
ヒントを得ることもあります。
多くの事を友人や先輩、
仲間など多方面から知識を得、
人として如何に有るべきかを
知っていく過程で、
知らぬうちに人は「徳を積んで」いきます。
この「徳を積む」ことが、
更なる問題がいくら起きても
心に余裕が生まれ、
慌てることなく冷静に状況を分析し、
しかるべき対応が出来るようになります。
これを「経験」と言います。
「経験」は実際に体験したことから学んだ
ものが、自分の自信につながる貴重なものです。
「失敗」も「経験」の一つです。
「失敗」を重ねることは、
「成功・問題解決」に
より近づく事なのです。
「失敗」は時間の無駄とか、
恥ずかしいことと思わず、
前向きにとらえる心構えを
学ぶチャンスと思いましょう。
我慢を忘れた現代人
平成に入り目立ってきたと思われることに
入社して1か月もたたないうちに
退職する人がいることです。
面接時の時の話と
実際に勤務してみた時と
格段に違う事はあります。
ただ、辞めることを
選択した人の中には、
自分中心の考えの方がいるようです。
社会経験ゼロの新卒の方が、
「自分の肌に合わないから」
と言って辞めるのは、
只々子供の戯れ言にしか思えません。
「石の上にも3年」という言葉があります。
どんな辛い会社でも(本当のブラック企業は除く)
3年いれば、独り立ちできるものです。
早ければ、1年で仕事の内容を把握し、
自ら仕事を作り出す知恵さえ
持ちうるのです。
しかし、我慢を知らない多くの方は、
簡単に退職していきます。
現代はいくら若くても、
前職を短期で辞められる方に対して
採用を躊躇し用心します。
更に退職を繰り返せば、
就職の道がどんどん狭まり、
最終的にはどこも雇ってくれなくなります
会社側の考えとして
採用してもすぐに辞められる方や
即戦力にならない方に対して
座学や研修という費用が掛かる事もあり
会社側はすぐ辞めそうな新入社員に
無駄な経費を掛けたくないものです。
これから、就職や再就職をされる方は、
じっくり考えて安易な退職を
されないことを望みます。
そして、安易に退職を繰り返す方は、
社内で信用を得られるまで
仕事を任される事が少なく、
万が一責任を負わされたり、
問題が発生すると右往左往して
周りに迷惑を掛けたりします。
中には、「どうしよう、どうしよう」と
頭をかかえ放置したまま、
時間に任せて何もしない人もいます。
この様な人は一時的に
問題から逃げられたとしても、
更に複雑でより難しい問題に
ぶち当たってしまった時は、
また逃げて問題を先延ばしにするか、
責任をだれかに押し付けるか、
最悪精神を病んで自らの命を絶ちます。
この世の中で生きている限り、
自分の能力より
過大な問題が起きたとしても、
必ず道は開けるのですが、
残念なことに最後の逃げ道に
迷い込む人がなんと多いことか。
ちょっとの勇気と耐える事を知っていれば、
身内家族友人、仲間を悲しませることを
避けられたはずです。
そして、他人との信頼関係を構築し
いざという時に相談しすることで
問題解決の道筋が出来るものです。
一歩と言わず半歩踏み止まり
深呼吸をしたのち、
問題点を具体的に洗い出し、
客観的に俯瞰すれば自ずと
解決策が見えてくることもあるのです。
時にプライドを脇において
本音で友人、目上の人にぶつかって
悩みを吐露することも大事な事です。
あなたの周りには必ず、
救いの手を差し出す人がいるものです。
常岡一郎氏について
日本の政治家
宗教家
文筆家として活動しました。
青年時代に結核を患い、
闘病生活を送りました。
その時に天理教に入信し、
宗教活動を行う生活を送ります。
後に天理教の地位向上の活動に
励み貢献しました。
著書も出版した他、
養護施設中心学園、
養護老人ホーム中心荘を
経営して社会福祉に貢献、
健康学園を創建しています。
生年 1899年(明治32年)1月12日
没年 1989年(昭和64年)1月2日
思考家 明徳義道 記す
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